Submenu
住宅基盤の基礎知識

地盤の良いところ悪いところ
―地形の分類と地盤の強さ―

家を建てると決めた施主の方へ。
まずは、最初の段階で、地盤の良し悪しを考えてみましょう。


地形には、大きく分けて、次の種類があります。








地盤保証検査協会 地盤の良いところ悪いところ


山地・丘陵地

山地とは、標高約500m以上の比較的険しい山間部をいい、安定した古い地層で構成されています。
丘陵地とは、山地よりも低くなだらかな地形をいい、更新世以前の軟岩で構成されています。
丘陵地における造成地では、切土と盛土が混在し、盛土部分や切盛境いでは不同沈下が発生し易いともいえます。
また、丘陵地のなかに刻まれた谷地にあたる地域では、軟弱層が堆積しており、不同沈下の可能性も有します。





扇状地

山地を流れてきた河川は、平坦地に出ると、それまでに運搬してきた砂礫や玉石をばら撒き、
その山地の出口を要とした扇形に広がった地形を形成します。
扇状地とは、この半円錐状の地形をいいます。
谷の出口にもあたるため洪水、土石流などの自然災害の危険性があるものの、砂礫を主体としており、
比較的安定した地盤とえいます。
なお、扇端部(下流側)では、地下水位が浅く湧水があります。





河岸段丘・台地


河岸段丘は、河川勾配の変化や流路の移動によって形成された平坦な地形をいいます。
更新世に形成されたものが多く、礫を主体としており、比較的安定した地盤といえます。
台地は、火山灰であるローム層で構成されている場合が多く、比較的平坦な地形で、良好な地盤となっています。






地盤保証検査協会 地盤の良いところ悪いところ


自然堤防

自然堤防は、平地を流れる河川の岸に土砂が堆積して形成されたもので、おもに砂や小礫からなり、
排水性がよく乾燥しています。
自然堤防は、安定した性質の地盤で、昔から集落が発達しました。





後背湿地

河川沿いに発展する自然堤防背後の低く平らな部分を、後背湿地といいます。
洪水で自然堤防を越えてあふれた氾濫水が、永い時間とどまり、粘性土・シルトが溜まっています。
地盤は、保水能力が高いため、水田に利用されていたり、また、沼地が残っていたりします。
局所的には、特に軟弱な有機質土を挟みます。
地耐力に乏しく、建物を支えるだけの数値が得られない地域が多いため、設計上の注意が必要です。
※なお、後背湿地は、自然堤防に比べ1m前後低いところが多くなっています。





三角州

海に近づくにつれ河川の流れは、何本にも分岐し、この流れに挟まれたところが三角の形をとります。
これによって、運搬された砂泥が河口付近に堆積してできた地形を、三角州といいます。
地盤は、まったく固結しておらず、極めて軟弱であり、
支持力不足はもちろんのこと、地震時の被害や、地下水汲み上げなどにより地盤沈下をおこす地域もあります。





埋立地

人工的に作られた地盤のため、場所により土の硬さも一定しておらず不安定な地域です。
特に、建築廃材や瓦礫等により造成された宅地では、不同沈下事故も多く見られ、
たとえ高い地耐力を得られたとしても、数値データは割り引いて考えるべきです。